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輸入ビジネスで起こりやすい代表的なトラブル10選とその解決方法
近年、輸入ビジネスをはじめ、いわゆる「物販」と呼ばれるビジネスモデルを始める方が増えています。この記事を読んでいる読者の中には、アマゾンを利用したせどりやメルカリでの不用品・輸入品販売などをしている方も少なくないでしょう。
しかし海外の商品を輸入して日本で販売する際には、トラブルが起きることがあるのも事実。そのため、輸入ビジネスをはじめるにあたってトラブルの回避方法や実際のトラブルの内容をあらかじめ知っておくことは非常に大切です。
そこで今回は輸入ビジネスで起こりやすい代表的なトラブルの内容10例とそれらの解決方法について、詳しくご紹介していきます。
目次
基本的にトラブルは回避できる
まず、輸入ビジネスに関するトラブルをご紹介する前に、大前提としてお伝えしておきたいのは、
「トラブルは回避できるものが少なくない」
ということ。
確かに、輸入ビジネスに限らず仕事においてはトラブルが付き物。しかしトラブルが起きないようにあらかじめリスクヘッジを考えておくことは誰しもが簡単に出来ることです。
たとえば、
- 見本市に出展している信頼性の高い企業やメーカーを取引先として選ぶ
- 契約の段階で、取引条件や納期などの認識をそろえておく
- スケジュールはタイトに組まず、余裕をもって設定する
- (トラブルが起きた場合に備えて)トラブルシューティングの方法を取引先と事前に共有しておく
- 海上保険、PL保険(対人賠償)などに加入しておく
といったものが挙げられます。
また取引相手は外国人ですから、
- 連絡が取れないと思ったら、バカンス(長期休暇)に出かけていた
- そもそも納期を厳守するという感覚が薄い
- 検品や書類のチェックが甘い(日本ほど厳しくない)
- 商品の取り扱いが雑
などの認識の違いは、想像以上に多く起きるものです。
そのため、まずは慌てずに「本当のトラブルなのか?」、「慣習や文化の違いから来るものなのか?」といった点を冷静に見極める姿勢も忘れないでおきましょう。
輸入ビジネスで起こりやすいトラブル10選
とは言え、いくらリスクヘッジをしていても避けられないトラブルというのは起こり得るものです。
そこで、ここからは輸入ビジネスで起こりやすいトラブルを具体的な例を交えて10件ご紹介していきます。
【輸入ビジネスで起こりやすいトラブル10選】
- 輸送途中で 商品が消えてしまった
- パッケージが壊れて価値が半減した
- 国内輸送中にパッケージがつぶれた
- 入荷した商品がすでに市場に売られていた
- 到着が遅れて納期に間に合わなかった
- サンプルが送られてこない
- サンプルより劣った商品が届いた
- パッケージの変更をしてくれない
- 見積書が商談時と異なる
- 送金したのに入金が確認できない
1.輸送途中で商品が消えてしまった
こちらは、B/L(船積書類)が届いたため商品の到着を待っていたら、コンテナに積まれていたはずの商品が無かった、という信じられないトラブルの一例です。
輸送中に商品が消えた理由として考えられるのは、
・コンソリデーター(コンテナに満たない小口貨物を搭載貨物として仕立て作業を行う業者・フォワーダーの一種)がくすねた
・または輸出作業に出入りする人または業者が持ち去った(盗んだ)
などです。
こうした場合、証拠を掴めないばかりか商品が戻ってくる可能性は著しく低いため、海上保険でカバーするほかありません。ただし補償額がCIFの110%しか得られないため、販売して得られたはずの利益は10%しかもらえません。
2.パッケージが壊れて価値が半減した
日本人はパステルカラーのパッケージを好む傾向にありますが、海外ではパッケージに神経を使うことがあまりないため、輸送中に汚れてしまう恐れがあります。
パッケージが汚れてしまうと商品価値が半減したり、売れなくなってしまうケースもあるため、
契約書の段階で汚れが付かないような梱包にしてもらうこと
を約束しておきましょう。またトラブルを見越して、余分にギフトボックスを積んでもらうようにすると安心です。
3.国内輸送中にパッケージがつぶれた
無事に海外から輸入できたとしても、国内での輸送中にパッケージがつぶれる場合もあります。こうしたケースでは、箱不良で返品されたり、口コミ評価に「梱包がダメだった」、「箱がつぶれていた」などと書かれたりして企業イメージを損ねてしまうことも考えられます。特に贈答品ではなおさらです。
こうしたトラブルの解決策としては、
- 輸送中のアクシデントを防ぐため、カートン単位で運ぶようにする
- お客様へ出荷する際に、予備のギフトボックスも同梱しておく
- 商品をいったん返品してもらい、予備のギフトボックスに詰め替えて再送する
といったものがあります。
4.入荷した商品がすでに市場に売られていた
見本市で「これだ!」と思った商品を即契約したものの、その商品がすでに日本の市場で売られていたというトラブルは、輸入ビジネスの初心者にありがちなケースです。
「売れるに違いない」と思って焦って契約したり、お客様のニーズ調査をしないまま輸入したりしたものの、市場ではとっくに「安価な類似品」が出回っていることは往々にしてあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、
- インスピレーションに従うことは大切だが、衝動的な本オーダーは避ける
- 「これだ!」と思っても、いきなり発注はしない
- まずはサンプルのみをオーダーし、日本の市場のニーズを調査する
といったことが大切です。
万が一、市場調査をする前に輸入してしまった場合には、ライバル社の金額に合わせて早めに売り切りましょう。
5.到着が遅れて納期に間に合わなかった
ワインが代表的な例ですが、解禁日が決まっている品物というのも中には存在します。こうした商品の場合、解禁日間近に荷物が港に着くように手配するインポーターが多いですが(商品保管のための倉庫代がかかるため)、何らかのトラブルによって生産が遅れ納期がぎりぎりになってしまうケースは少なくありません。
納期が遅れるとペナルティやキャンセルが発生する可能性もあるため、あらかじめ「基本的に海外からの荷物は遅延するもの」という心づもりをしておき、
タイトなスケジュールを組まないようにする
のがポイントです。
よくエクスポーターが作成する契約書の中には「やむを得ない事情の場合、納期が遅れる可能性がある」と書かれていることもありますが、通常では納期の遅れは絶対に認められるものではありません。そのため、
契約書にこの項目がある場合には、事前に削除を依頼
しておきましょう。
もし遅延が発生しそうになった場合には、
輸入申告をすると同時に「輸入許可前貨物引き取り承認申請書」・「担保提供書(銀行等の保証書を添付)」を税関に提出し、許可前に商品を引き取る手続きをしましょう。
そのほか、6~10のトラブルについては、下記に詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
6.サンプルが送られてこない
輸入ビジネスでは、日本国内での取引では考えられないようなことが起こります。 サンプルが送られてこない!という、実際に起こったトラブルと、その対処法のまとめはこちらから(クリックして詳細を読む)
7.サンプルより劣った商品が届いた
輸入ビジネスでは、日本国内での取引では考えられないようなことが起こります。 サンプルと、トライアルオーダーの品質が違う場合の原因と対処法のまとめはこちらから(クリックして詳細を読む)
8.パッケージの変更をしてくれない
輸入ビジネスで多いトラブルに、契約・代金・保険に関するものがあります。 メーカーがパッケージの変更に応じない場合の原因と対処法のまとめはこちらから(クリックして詳細を読む)
9.見積書が商談時と異なる
輸入ビジネスで多いトラブルに、契約・代金・保険に関するものがあります。 届いた見積額が展示会の時の話と違う場合の原因と対処法のまとめはこちらから(クリックして詳細を読む)
10.送金したのに入金が確認できない
輸入ビジネスで多いトラブルに、契約・代金・保険に関するものがあります。 送金したのに、入金が確認できないと言われた場合の原因と対処法のまとめはこちらから(クリックして詳細を読む)
まとめ
今回の記事では、輸入ビジネスの際に起こりやすいトラブルを10例取り上げました。
ビジネスにおいてトラブルは起こりえます。そんなトラブルやリスクと、その対処方法をあらかじめ想定しておけば、突然の事態にも落ち着いて対応できるでしょう。