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輸入ビジネスをするなら知っておきたいFTAとEPAの違い
近年、国と国との貿易を促進し経済を活性化させるための取り組みとしてTPPやEPAなどの取り組みが注目されるようになってきました。今回取り上げる
「FTA」
もその1つです。
しかし似たような言葉であることから、
- 違いがよくわからない
- 実際にはどんな内容になってるのか?
といった声が聞かれることも事実。
そこで今回は
FTAが生まれるまでの経緯や協定の内容
について詳しく解説するとともに、
EPAとの違い
についても言及していきます。
目次
FTAが生まれるまで
もともと、世界の貿易に関するルールは
WTO(世界貿易機関)
によって定められるのが常でした。
しかしWTOでは加盟国や地域の「全会一致」を原則としていることから、途上国と先進国の利害が対立することも多く、2001年頃から交渉は停滞気味に。
そうした背景から
二国(または地域)間の交渉が主流
となり、現在では270近い協定が世界全体に存在するまでになりました。EPAやFTAもこの協定の1つです。
しかし近年においては、2国間交渉は非効率であるという理由から、地域がまとまって交渉する動きへと変化しつつあります。その代表的なものが、
- 太平洋を取り囲む国と地域が参加するTPP
- アメリカとEUが行っているTTIP
などです。貿易の情勢は刻々と変化をし続けており、これらの動向によっては
関税や貿易そのもののルールにも大きな変更が生じる可能性
もあるため、今後の動きからも目が離せません。
TPPに関する記事については詳細をまとめた記事がありますのでそちらをご覧ください。
ただしFTAやEPA、TPPといった協定ができたからと言ってWTOの意味が失われたわけではありません。各国の貿易政策の骨組みとなるルールを策定したり、他国を排除するようなルールは禁止したりするなど、
WTOの協定があることで世界の貿易秩序が保たれている
ことは紛れもない事実。
プロセスは異なるものの自由貿易圏を実現するという目的は、これらの協定とも通ずるものがあり、
双方の関係に矛盾が生じるものではない
と言えるでしょう。
FTA
最近では「TPP」や「日EU・EPA」などが話題に上ることが多くなりましたが、輸入ビジネスをはじめ貿易関連の仕事に携わるのであれば
FTAの内容
についてもしっかり押さえておきたいもの。
では「FTA」とはそもそもどのような協定なのでしょうか?
FTAは、Free Trade Agreementの略であり、特定の国や地域都の間で
物品の関税やサービス貿易などの障壁を削減したり撤廃したりすること
を目的とした協定です。自由貿易に対する障壁をなくすことで、国や地域の市場が統合され、地域間経済ひいては
世界経済までもが活性化
することが期待されています。
FTAを締結すると、輸入品に対してかけられている関税や、非関税障壁(輸入数量制限、輸入課徴金制度など)が撤廃されるのが特徴です。
FTAのメリットデメリット
FTAを締結する最も大きなメリットとしては、
「関税の削減または撤廃」
が挙げられます。
関税率は各国独自で定めることができるものの、WTO加盟国では
WTO協定税率を適用しなければならない
というルールがあるため、決められた関税率の範囲内でしか貿易をすることができません。
その反面FTAを締結すれば、交渉する条件や協定の内容によって
税率の免除や軽減が可能
となり、双方にとってメリットのある貿易を実現することができます。そのため、多くの国がFTAを結べば世界的な貿易自由化が促進されることとなり、経済も活性化するというわけです。また
国内企業が海外に進出しやすくなるといったメリット
もあるでしょう。
とは言え、貿易自由化を懸念する声があるのも事実。
具体的な内容としては、
- 関税によって守られてきた国内産業が廃業に追い込まれるのではないか?
- 海外の安い品物が大量に国内に入ってくることで、国内産の品物が価格競争に負けてしまうのではないか?
- 国内企業の経営が悪化することで、雇用が守られなくなるのではないか?
- 失業が増え、安定的な税収を確保することが難しくなるのでは?
といったものが聞かれます。
しかし貿易において関税が撤廃されることは、国内企業にとっても大きなチャンスとなる可能性も秘めています。なぜなら「メイドインジャパン」のブランド力は今も健在であるほか、
日本製の高い品質や安全性は、世界的にも大きな評価を得ている
からです。
関税の削減や撤廃によって適正な競争が促されることによって、より良い商品が生き残っていけるということは、つまり
日本製の商品に改めてスポットライトが当たる可能性が高い
のです。
せっかく貿易にかかわる仕事をするのであれば、自由貿易のネガティブな面ばかりを捉えるのではなく、
日本製の品質の良さ・丁寧さ・繊細さなどをアピールできるチャンス
だと考え、どんどん世界へチャレンジしていくべきです。
また関税がフリーまたは減税となることは、簡単に言えば
「海外からの商品がより安く輸入できること」
でもあり、輸入者の負担は今までよりグッと軽減されます。そのため
輸入ビジネスに従事する方や、これから輸入ビジネスを始める方にとっては大変有利!
こうした自由貿易の制度がまだ確立しきっていないうちからアンテナを立てておき、積極的に先行者利益を取りに行きましょう。
輸入ビジネスを始めるタイミングとしては、今が好機です!
FTAとEPAの違い
よくFTAと引き合いに出されるものとして、EPAがあります。
EPAとは、Economic Partnership Agreementの略で、日本語では
経済連携協定
とも呼ばれることも多いです。
そんなEPAは
特定の国や地域間の貿易や投資を促進するため
に設けられた制度であり、複数の目的が設定されています。
具体的には、
- 輸出入にかかる関税を撤廃・削減
- サービス業を行う場合の規制を緩和・撤廃
- 投資環境の整備
- ビジネス環境の整備に関する協議
などが掲げられています。
両者を比較すると、FTAが特定の国や地域間でのモノやサービスの貿易の自由化を目的としているのに対して、EPAは
より幅広い分野で経済連携を目指している
ことがわかるのではないでしょうか。
とりわけEPAでは、知的財産の保護や人的交流の拡大など、
「ヒト」・「モノ」・「カネ」の移動を自由かつ円滑にすること
に力が入れています。そのため協定の締結数も年々増加。近年では、EPAによるビザの発給要件の緩和等もあり、有能な外国人を日本に招いて働いてもらう流れや国内企業における海外工場設立の動きなども活発化しています。
さらに、ここ数年間で最も注目されたEPA協定には、2019年2月1日に発行した
日本とEUのEPA
が挙げられます。この協定では、日本がおよそ94%、EUが99%近い品目で
関税を無くすことが決定し、世界最大級の自由貿易圏
が誕生。こうしたニュースからしても、貿易の動向が日々変化をしていることが改めて伺い知れるでしょう。
EPAに関してはこちらに詳しい内容をまとめていますので、興味のある方は参照ください。
まとめ
今回の記事では、
FTAが打ち出されるようになった経緯や協定の内容
について詳しく解説するとともに、
EPAとの違い
に関しても言及しました。それぞれの協定において細かい規定や内容は異なりますが、
貿易の自由化と経済の活性化
を念頭に置いている点は共通です。こうした自由貿易圏を拡大する動きは今後さらに活発化するものとみられているため、日頃から動向をチェックしておきたいものです。
また、自由貿易の議論が活性化しているこのタイミングに
輸入ビジネスを始めるのは大きなチャンス。
まだ市場に注目されていない商品にいち早く目を付けて輸入ビジネスを展開すれば先行者利益が得られるなど、メリットも豊富にあります。
これを機に「輸入ビジネスにチャレンジしてみたい」、「専門家に相談しながら輸入ビジネスを進めていきたい」という方は、こちらも併せてご覧ください。