TPP関連

TPPが輸入ビジネスにもたらす影響

TPPが輸入ビジネスにもたらす影響

ニュースや新聞などで最近よく耳にする「TPP」

しかし、一般の方だけでなく輸入ビジネスに携わる方でも「TPPを詳しく説明するのは難しい」、「TPPが輸入ビジネスにどのような影響を与えるのかよくわからない」と感じる方は少なくありません。

そこで今回は、TPPとは何か、そしてTPPが輸入ビジネスにもたらす影響にはどのようなものがあるのか、といった点について詳しく説明していきます。

TPPとは

TPPとは、環太平洋経済連携協定の略です。

当初、APEC(アジア太平洋協力会議)のメンバーである、シンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランドの間で関税の撤廃をはじめとする自由貿易の障壁を取り除く自由貿易協定の締結がなされ(P4と呼ばれる)、後にアメリカ・オーストラリア・ベトナム・マレーシア・ペルーが交渉に加わりました。

2012年にメキシコとカナダが参入し全11ヶ国での協定という形でしたが、2013年には日本もTPPへの参加を表明。

2017年にアメリカが交渉離脱となったものの、残った11か国で引き続き交渉が行われ、2018年12月30日に協定の発効がなされました。

これまで国境を越えたスムーズな経済活動のルールはWTO主導で行われてきたほか、EPAやFTAなどの協定も多く結ばれてきました。しかしTPPでは、これまでよりもはるかに多くの品目が対象となっており、さらにハイレベルな貿易の自由化が期待されています。

TPPの原則は、大きく分けて

「加盟国間の関税の全面撤廃」
「各国の様々な仕組みやルールの統一」

の2つ。

その対象には、

  • 産品の貿易
  • 原産地規制
  • 貿易救済措置
  • 衛生植物検疫措置
  • 貿易の技術的障害
  • サービス貿易
  • 知的財産
  • 政府調達(国、自治体による公共事業、物品、サービスの購入)
  • 競争政策(エネルギー、省エネ分野など)

といったものが挙げられ、幅広い項目を包括的にカバーしています。

これまでEPAで話し合われてきた関税や投資などの分野にとどまらず、環境・労働者保護、電子通信サービス・電子商取引なども含まれている点も見逃せません。

TPPのメリット

TPPへの参加は日本国内でも賛否両論が巻き起こったことでも知られていますが、実際にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

TPPのメリットとしては、

  • 自由な貿易が実現し、経済が活発化する
  • これまで関税にかかっていたコストがなくなり販売価格が下がる
  • 販売価格が下がることで売り上げが増え、販売量も伸びる
  • 販売量が伸びると、雇用が増える

という好サイクルが生まれるという点が挙げられます。

たとえば韓国と米国の間で関税が撤廃された貿易が行われている場合、韓国から米国へ輸出された家電や車などは日本の製品よりも安い価格で販売が可能となります。すると日本の製品の価格競争力が失われてしまい、米国の消費者から日本製の製品が買われなくなってしまうことも考えられます。

しかし日本が多くの国と自由貿易協定を結べば、高品質な日本製の製品をより低価格で消費者に届けることが可能となります。日本により有利な条件で交渉を進めるためにもTPPへ積極的に参加して、より具体的に話し合いを進めていくことが大切なのです。

TPPのデメリット

一方、TPPのデメリットには次のようなものが考えられます。

  • 関税などのコストがかからない価格で輸出できる一方で、日本国内にも安い外国製の商品が入ってくるため、比較的値段の高い日本製の商品が売れなくなってしまうのでは?という懸念がある
  • 安価な商品が入ってくることで、デフレや失業などの原因になる
  • 規制緩和により、安全性や信頼性が担保できない製品、サービスが流入する恐れがある
  • 安さを求める方はより安く、ハイクオリティを求める方はより高く、といったような階層の分断や格差が生まれる可能性がある

このような観点から、参加が決まった今日でも離脱を求める声や反対の声があることは確かです。

しかし政府は、自由貿易の交渉とともに、

  • 品目によっては 関税撤廃からの除外品を検討する
  • すぐに関税をなくすのではなく数年にかけて少しずつ削減していく
  • セーフガード(緊急輸入措置)などを導入する

といったように、国内産業を保護する努力も行っています。

また日本の高品質の製品を海外に関税なし(または減税)で輸出できることは、メイドインジャパンを広める大きなチャンスとなり、より多くの方の手元にハイクオリティな製品を届けることが可能となります。

世界中で日本製の製品が支持されることは、
結果的に売り上げのアップにも繋がる

ため、「自由貿易=価格競争に負けて製品が売れなくなる」と考えるのは早計でしょう。

TPPが輸入ビジネスにもたらす影響

TPP締結の流れを見ても分かるように、グローバル化の時代になり世界の交易はますます活発になっています。

EUではパスポートなしで加盟国間を行き来できるようになるなど、モノだけでなく、ヒト・カネ・情報・サービスなども国境を越えて行き交う時代です。

当然ビジネスにおいても、もはや全てのプロセスを国内だけで完結するということは成り立たなくなってきています。

インターネットの発達も追い風となり、世界を相手に勝負をしていく時代が到来している今、商売の世界で生き残っていくためには

国内ばかりを見る内向き志向ではなく、グローバルなビジネス感覚

が必要です。

特に日本人は、世界から「ビジネスの相手」として切望されているだけでなく、海外からの信頼感やネームバリューも抜群であり、世界に飛び込みやすい土壌があります。自由貿易が活発化しているこの時代に、日本人であることの優位性を活用しない手はありません。

輸入ビジネスをするにあたり、関税の撤廃やルールの見直しなどTPPの交渉事項が一時的に混乱を招くこともあるかもしれませんが、長期的な目線で見れば有利に働くはずです。

世界的な潮流に乗り遅れないためにも、世界の自由貿易の動向や日本のTPPにおける交渉内容などは逐一チェックしておきましょう。

まとめ

今回の記事では、TPPの内容を解説するとともに、TPPに日本が参加するメリット・デメリット、TPPが輸入ビジネスにもたらす影響についても言及しました。

日本がTPPの参加を決めるまでには賛否両論ありましたが、参加が決まったことで日本により有利な展開で交渉を進めていけるに違いありません。特に、「今後の交渉内容によって具体的な貿易のルール等がどのように変わっていくのか?」、「実際の市民生活にどのような変化がもたらされるのか?」といった点は気になるところです。

ルールの変更や改正などによっては、輸入ビジネス等にも影響が出る可能性がありますから、交渉の動向についてはこれからも要注目と言えるでしょう。

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