国際郵便(EMS)

輸入ビジネスをするなら理解しておきたい国際郵便(EMS)の基礎知識

輸入ビジネスをするなら理解しておきたい国際郵便(EMS)の基礎知識

海外に手紙や小包を出したり、または海外から受け取ったりするときの輸送手段として使われる

国際郵便。

言葉はなんとなく聞いたことがあるけれど、

  • 実際には使ったことがなくてよくわからない
  • 国際宅配便とは何が違うの?

と感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、国際郵便のことをあまりよく知らない方のために、

国際郵便の詳細や国際宅配便との違い

について詳しく解説していきます。

国際郵便の概要

国際郵便を利用すれば、誰でも簡単に海外へ手紙や小包を発送したり、または海外から受け取ったりすることが可能です。
国内でよく利用されている

「郵便」

という仕組みの海外版だと思ってもらえれば理解しやすいでしょう。配送先ごとに細かい規則はあるものの、法人だけでなく個人でも

手軽に海外と荷物のやり取りができるのが特徴

です。

郵便のサービスには、

  • 主に小包を送るためのEMS、国際小包、国際eパケット、国際eパケットライト
  • 主に手紙などを送るための小型包装物書留・印刷物書留

があり、

船便・航空便・SAL便(エコノミー航空)など用途に合った配送方法

が選択されます。

一般的に、

  • 船便は安いが配送までに時間がかかる
  • 航空便は高いが配送までの時間が短い

といった違いがあります。

SAL便はその間をとったようなシステムで、

航空便と船便を組み合わせて輸送

するため、船便よりは早く到着することが可能。そのため

  • 何を
  • いくらで
  • どれくらいの日数で到着させたいのか?

など、

配送する目的に合わせて配送手段を選ぶ必要

があります。

配送に係る料金や日数、配送地域、サービスなどの詳細は、郵便局のウェブサイトから確認することができるため、実際に利用する際は、サイトを利用して

事前にシミュレーションしておく

と良いでしょう。

https://www.post.japanpost.jp/int/index.html
(※当然、ヤマトやDHLなど民間の業者も海外への配送は行っていますが、公的配送ネットワークとして位置づけられているのは「郵便(日本郵政)」となります。)

また、国際郵便として送れない物品としてIATA(国際航空運送協会)の規約で定められているものに

  • 火薬類(花火、クラッカーなど)
  • 引火性液体(ライター用燃料、ペイント類など)
  • 高圧ガス(消火器、スプレー、ガスコンロなど)
  • 可燃性物質(マッチ、ライターなど)
  • 酸化性物質(漂白剤、過酸化剤など)
  • 毒物類(クロロホルム、殺虫剤など)
  • 腐食性物質(水銀、バッテリーなど)
  • 放射性物質(セシウム、ウランなど)
  • 麻薬類(抗精神剤含む)
  • 生きた動物
  • わいせつな物品

などがあります。

これらの郵送禁止物品は、航空貨物に限らず

船便およびSAL便でも送れません

ので気を付けておきましょう。

EMSとは?

国際郵便についての概要が分かったところで、ここからは国際郵便の中でもよく利用される

「EMS」

について詳しく見ていきましょう。

公益性

EMSは、公的配送ネットワークである「郵便」として扱われるため非常に

公益性が高い事業

です。日本では、日本郵便がその役割を担っています。公的配送ネットワークとは、

「万国郵便連合」によって運営されている

もので、世界中のどこにいても郵便を届けることができるネットワークの構築を目指す組織。そのため収益よりも公益性を重視している点が最大の特徴です。

民間の配送会社では、自社都合や天候・天災などを理由に荷物の配送を停止する場合がありますが、
公的配送においては

「自社都合」、「天候不良」などの理由で配送が止まることはほとんどありません

(雪や台風などでの配送遅延はあり)。

料金の計算方法

EMSの料金の計算方法は、

実重量および配送国によって異なります。

特にヨーロッパや南米、アフリカに送る荷物は高めに料金が設定されているようです。


※値段は2021年3月31日現在。EMSで送れる重量の上限は30㎏までです。

値段や取り扱い地域などは、時期によって変わる可能性がありますので、詳細については日本郵便のEMSページ(https://www.post.japanpost.jp/int/ems/index.html)にてご確認ください。また現在は、新型コロナウイルス感染症の影響により取り扱いができない国と地域がありますので注意が必要です。

配送可能国

現在、EMSの配送可能エリアは、アジア、オセアニア、北米、中米、中近東、ヨーロッパ、南米、アフリカと、

ほとんどの地域をカバーしています。

ちなみにグアム・サイパンは、所属国はアメリカですが、EMSのエリアでは

アジア地域(第一地帯)に分類

されるので気を付けておきましょう。

また「国土の全域に配送が可能な国」と「一部地域にしか配送ができない国」があるため、荷物を送る際には、

その地域が配送可能エリアに含まれているかどうか要チェック

です。アジアでは、ネパール・パキスタン・フィリピン・ブータン・ブルネイ・ミャンマーなどが一部地域の取り扱いとなっています。

追跡

EMSの便利な点の1つに

「追跡機能」

があります。

EMSの送り状には13桁のお問い合わせ番号がついており、日本郵便または海外郵便局の

ウェブサイトから状況を確認

することが可能です。加えて、配達完了のお知らせを指定のメールアドレスに送信してくれるサービスもあり、日数を要する海外への配送でも安心して利用できます。

ただし、相手国のシステム状況などで完了情報を通知できない場合があるほか、国ごとに追跡請求可能期間が異なるため

配送状況を表示できないこともある

ので覚えておきましょう。

配達日数

EMSの配送日数は、

  • どの場所から出した荷物なのか?
  • どの国(地域)に宛てた荷物なのか?

という2点によって決まります。

たとえば、東京からシンガポールへEMSを出した場合には約2日、ドイツやフランスまでは約3日かかるのが標準です。地理的に近いから早く到着するというわけではなく、東京からベトナムは到着まで約7日、バングラデシュまではおよそ9日など、

アジアであっても比較的長い日数を要するエリアもあります。

なお輸送の間に、土日祝日が含まれたり航空機の遅延や欠航といったイレギュラーが発生したりした場合にはこの限りではありません。

通関手続きと税金の支払い

EMSでは、

税関にて書類審査および検査

が行われます。検査については全ての小包が対象となるわけではなく、書類での簡易チェックの際に問題がありそうな荷物のみ入念なチェックが行われるようです。検査後に問題が無ければ、関税の手続きとなります。

中身が20万円以下のものは、基本的に簡易税率が適用されますが、受取人や発送人からの申し出があれば、

一般税率での適用も可能

です。

EMSラベルのオンライン化

これまでEMSを発送するためのラベル(送り状)は、手書きすることが一般的でしたが、2021年1月1日以降に「通関電子データ送信義務化」が行われたことにより、

手書きではなく印刷ラベルの利用が必須

となりました。

印刷ラベルは、「国際郵便マイページサービス国際郵便マイページサービス (japanpost.jp))」を使って作成。こちらを利用すれば、高いセキュリティのもと、品物の郵送に必要なデータを電子化し配送国へ送信してくれます。

これまでのような

手書きのEMSラベルでは郵便物が届かない可能性

もあるため、注意しておきましょう。

クールEMSもある!!

EMSには、

保冷が必要な荷物をクール便で送れるというメリット

もあります。クール配送のため地域は限定的となりますが、冷蔵では0~10℃冷凍では-15℃以下で海外へ品物を配送が可能。クールEMSを利用すれば、水産業の方が海外のレストランへ新鮮な魚を送ったり、個人の方が話題のスイーツを外国の友人へ届けたりすることもできます。

クールEMSの詳細についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

民間配送会社でも品物や書類は送れる

このように手軽に海外へ荷物を送ることができるEMSですが、国際郵便(日本では日本郵便のサービス)を利用せずとも、

民間の配送会社を利用して品物や書類を送るという選択肢

があることも忘れてはなりません。民間の業者の代表的なものには、

  • ヤマト
  • TNT
  • DHL
  • Fedex

などがあり、これらは国際宅配便と呼ばれることが多いようです。

配送日数に関してはほとんどEMSと変わりませんが、

自社の配送システムやネットワークを持っている業者はEMSより到着がやや早い

場合もあるようです。配送可能な地域数料金に関しては業者によってバラつきがあるほか、会社ごとに強み(TNTは配送可能国が多い、Fedexは到着日数が短いなど)や特徴なども様々。

もし海外へ品物を送る際にコストや配送日数が気になるようであれば、

複数の会社を比較・検討

するのがおススメです。

まとめ

今回は国際郵便の中でも、特に

EMSの特徴と国際宅配便との違い

について詳しく解説してきました。

EMSは、30㎏までしか送れないという制限はあるものの、

BtoCに限らずBtoBでも非常に有効な輸送手段。

  • サンプルが早く手元にほしい
  • 少量だけ販売してみたい
  • テストマーケティングのために商品を取り寄せたい

といった場合にはぜひ活用してみてください。

輸入ビジネスをやってみたい!、物販で稼いでみたい!でもやり方がわからない・・そんなときは、

経験と実績豊富な輸入に特化した「貿易アドバイザー」がいる、インポートプレナーへ。

JA/EN
ページトップに戻る