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輸入ビジネスをやるなら知っておきたい関税の仕組み①
輸入ビジネスにおいて、切っても切り離せない存在である
「関税」
しかし、
- 関税と聞いただけでハードルが高そうに感じる
- 税金のことは難しくてよくわからない
といったように輸入ビジネスを始める多くの初心者が頭を悩ますところでもあります。
そこで今回は、輸入ビジネスをやるなら必ず押さえておきたい
「関税の仕組み」
についてご紹介していきます。
目次
関税とは何か?
関税とは、
海外からの商品を日本に輸入する際に必要となる税金
のこと。国によっては、国内から国外へ輸出する場合にも関税が必要な場合もありますが、日本では輸入する場合にのみ関税が必要です。
関税の目的は
- 税制収入
- 国内産業の保護
という大きく分けて2つの項目から成り立っています。
中でも、関税は
「国内産業の保護」
に大きく寄与しており、海外から安い商品が入ってきたときに、国内産の商品が消費者から選ばれなくなってしまうことを防いでいます。
たとえば、日本の牛肉が通常価格で1,000円であるところに、外国産の牛肉:500円のものが入ってきてしまうと、消費者は激安の外国産牛肉を購入する人が多くなります。そうなると、国産の牛肉は売れなくなり、国内の産業や雇用にダメージを与えかねません。
そこで、外国産の牛肉に関税分を上乗せして金額を調整することで、国産の牛肉との価格差を調整します。消費者は金額がほとんど変わらなければ、「安心安全の国産牛肉を買おう」と考えるでしょうから、安い外国産ばかりが売れるということは少なくなり、国内産業も守られるという訳です。産業が守られるということは、税金を安定的に回収出来ることにも繋がるため、関税は「国内産の商品や生産者を守るための取り組み」だけでなく、
「国の財政を守るシステム」
でもあると言えるでしょう。
しかし最近は関税を撤廃し、国どうしの貿易を活性化するという取り組みも多く行われるようになりました。
関税を撤廃した貿易の例としては、TPPやFTA、EPAなどが挙げられます。
関税が撤廃されることで、
- 価格競争に負ける
- (商品が売れなくなると)生産者の経営が立ち行かなくなる
- 失業者が増え、税金の回収ができなくなる
といった点を懸念する声もありますが、関税の撤廃はむしろ
メイドインジャパンの商品を世界に広められる大きなチャンス
となります。外国産の安いものに価格で対抗するのではなく、品質の高さや安全性で勝負すれば、他に類を見ないほど優れたジャパンクオリティは必ず世界の市場で存在感を示せるに違いありません。
また関税がなくなることで、商品の原価が下がることもポイント。ハイクオリティでありながら値段が少しでも安くなれば、これまで商品の値段が高くて手に取ることができなかった層にもアプローチができるため、市場シェアを広げていくことも可能でしょう。
関税は誰に対して支払うもの?
ちなみにこの関税ですが、「一体、誰が誰にどのタイミングで支払うのか?」と気になっている人も多いはずです。
実はこの上乗せされた関税は、
「輸入する国の企業が国へ支払うもの」
と決まっています。
ただし関税は、輸入の窓口である税関で支払うことになるため、
輸送業者が代行して支払いを済ませる
ケースがほとんどです。そのため商品をコンテナなどを使って輸入する企業は、関税分を上乗せした分の輸送料を輸送業者に支払わなければなりません。
一方、個人輸入などの目的で宅配便を使用したものに関しては、宅配業者が代理で輸入申告と納税をしたあと、個人宅へ配送された際に関税と商品税を徴収することになっています。
郵便で届いた輸入品については、空港などに設置される外郵出張所にて税関職員が課税します。輸入者自らの申告は特に必要無いため、「賦課課税方式」と呼ばれています(ただし20万円を超えるものに関しては、通関業者を利用するか、郵便会社に通関をお願いして通関手続きをすることが必要)。
輸入入ビジネスにおける関税の支払い方法
では商品を海外から輸入した場合、関税は実際いくら用意しなければならないのでしょうか?
関税の税率は、原産国、素材、種類、加工品かどうか、などによって細かく設定されているほか、途上国からの輸入品は特別特恵関税として、安い税率が設定されているケースもあります。
また、自由貿易協定を結んでいる国からの輸入品は協定税率が適用となるなど、
輸入品ごとにかかる税率は異なるため注意が必要
です。さらに、関税は個人輸入なのか商業輸入なのかによっても税率が異なるため気を付けなければなりません。
そのため関税額を知るためには、まずは
- 個人輸入
- 商用輸入
の各ケースで、いくらが課税対象となるのかを調べるところから始めます。
【個人輸入(※)の場合の課税対象】
(商品本体料金×0.6)+送料=課税対象額
※ここでいう個人輸入とは、輸入した商品を自分自身で使用することが前提で、個人が輸入した転売や販売することは当てはまりません。(転売や販売する場合には、商用輸入となります。)
【商用輸入の場合の課税対象】
商品本体料金+送料+保険=課税対象額
このように課税対象額がわかったら、実際にかかる税率を計算していきます。
課税対象額×税率=実際の支払額(関税)
このとき、課税対象額にかける税率は、合計の課税価格が20万円を超えるかどうかで「一般税率」となるか「簡易税率」となるか、が変わります。
【一般税率】
課税対象額が20万円を超える場合に適用されます。商用目的の輸入では一般税率となるケースがほとんどでしょう。品物ごとに関税率は異なるため、詳しく知りたい場合には実行関税率表(2021年1月1日版)を確認してください(https://www.customs.go.jp/tariff/2021_1/index.htm)。
ただし輸入ビジネスの素人が正しく税率を計算するのは至難の業。そんな時は、
通関業者
を利用すれば関税率表で細かく計算をする必要はなく、正確に輸入手続きを済ませることができます。
【簡易税率】
個人での輸入など、20万円以下の輸入をする場合に適用される税率です。9000種類近くある一般税率を7つに区分した関税率が掛けられることになっています。
①酒類→ワイン70円/リットル、蒸留酒20円/リットル、清酒30円/リットル
②トマトソース、氷菓、なめした毛皮、毛皮製品など→20%
③コーヒー、紅茶を除く茶、ドロップスキンを除く毛皮など→15%
④衣類、衣類付属品(メリヤスまたはクロセ編みを除く)→10%
⑤プラスチック製品、ガラス製品、卑金属製品、家具、玩具→3%
⑥ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、鈴製品→無税
⑦その他→5%
(参考:少額輸入貨物の簡易税率 : 税関 Japan Customs)
簡易税率が適用となる最大のメリットは、
複雑な必要証明書類が免除
となる点です。煩わしい書類を用意したり、難しい関税計算も不要のため、少額から輸入を始めたい人には最適な輸入方法と言えるでしょう。
ただし、一般的に「簡易税率のほうが煩わしい手続きがなく、かかる税率も低い」と言われているものの、品物や金額によっては一般税率と逆転するケースも存在するため注意が必要です。通常、課税価格が20万円の場合は簡易税率が適用となりますが、これは義務ではなく、
輸入者が希望すれば一般税率を適用することも可能
なため、ケースに応じて見極めることも大切だと言えます。
加えて一部商品(ニット製品、肉の調製品など)においては、簡易税率が適用されない場合があることも覚えておきましょう。
ちなみに、商用・個人使用ともに課税価格の合計が1万円以下の場合は、免税となります。
まとめ
今回は、輸入ビジネスをするにあたって知っておくべき「関税」について詳しく解説しました。
関税の概念は非常に複雑で、一度読んだだけで理解するのは難しいと感じる人も少なくないでしょう。ですが、
輸入代行業者を利用すれば輸入手続きをスムーズに済ませる
ことができ、スピーディに通関を行うことが可能です。
適切に納税しなければ脱税行為となってしまい、罰則を受けるケースもあるため、何もかも一人ですべてやろうとせず、専門の業者を頼るのも一つの手だと言えるでしょう。
また最近では関税が撤廃されている国も多く、こうした煩わしい手続きは不要になりつつあります。関税が撤廃されることで受けられる恩恵は大きく、これからますます自由に貿易が出来る土壌が整備されていくことが予想されますので、「これから輸入にチャレンジしてみたい」と思っている方には大変なチャンス。簡単に言うと「関税撤廃=商品の原価が下がる」ということなので安く輸入できる環境が整いつつあります。
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