保険会社が保険に関する契約の証拠を書面として発行したのが保険証券ですが、貿易の場合は輸出に関わる貨物保険証券が発行され、その金額や責任の所在、担保の条件、関わる数量等の条件が記載されます。

貨物保険証券は、貿易取引を行う上で貨物の財産権を主張するのに不可欠な船積書類の大事な構成要素となっています。
貨物保険証券はインボイス等と共に買取銀行に提出され、その効力を発揮します。

貿易手段を提供する航空会社や船会社は、運送約款において安全に運送する責務を負っているものの、輸送上で起こり得る貨物への損害に対し全ての責任を負っている訳ではありません。ですから万が一免責され得るケースが発生しても、別途貨物保険証券を発行しておく事により、荷主は損害貨物に対する補償を確実に受ける事が出来るのです。

貨物保険証券が有効となるケースに、火災や座礁等の船舶トラブル、荒天や地震、噴火を始めとした自然災害、輸出入港における荷役の際発生するトラブルが挙げられます。ただ戦争やストライキ、梱包ミス、運送の遅延、核兵器による損傷は免責され、補償を受ける事は出来ません。

また貨物の種類や輸送ルートによって必要な保険条件が異なりますから、貨物保険証券発行前に当事者同士で綿密に条件を詰める必要があります。