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貿易の基本を知ろう
貿易とは?国と国の取引をわかりやすく解説
目次
貿易とは国と国との商取引
貿易とは、簡単に言えば、ある国が別の国との間で商品を売買することを意味します。
A国がB国にテレビを売ったり、逆にA国がB国から木材を買ったり…という行為が貿易の基本形だと言っていいでしょう。
商品を外国へ販売するのが「輸出」、外国から商品を購入することが「輸入」ですが、貿易では、この輸出と輸入のバランスが大変重要です。
一国のレベルで見ると、海外から安い商品を無制限に輸入すれば自国の産業が育たなくなりますし、逆に輸入を制限しすぎると、国際社会の批判を受けることになるでしょう。
貿易が国際的な規模で行われている以上、自国の都合のみで商取引をすることは、もはや不可能なのです。
貿易はなぜ行われる?
そもそも、なぜ「貿易」が行われるのでしょうか?
それは、経済活動をおこなうのに、一つの国だけですべてを賄うことができないからです。
例えば日本には資源がありません。原油や石炭、天然ガスなどのエネルギーをはじめ、鉄鉱石や銅などの金属は、その殆どを外国からの輸入に頼っています。日常生活を維持するためにも、日本にとってこれらの資源は欠かせません。
その一方で、日本には技術力があり、戦後はこの技術力をもとに、自動車や家電などの工業製品を大量に生産してきました。こうした工業製品を、海外に輸出することで、日本は大きな利益を上げてきたのです。
目的は国際分業で生産性を高めること
さらに、こんなふうに考えることもできます。
例えば、日本はフランスからワインを輸入しています。そしてフランスは日本から自動車を輸入しています。
しかし、日本でもワインを作ることはできますし、フランスにも自動車メーカーはあります。それぞれの国が輸入しているものを自国でつくることは不可能なことではありません。
では、なぜ2国間で貿易が行われるのでしょうか?
それは、不得意分野のものを自国で必要な分だけつくるより、生産性の高い国から輸入し、得意分野の生産性向上に力を注いたほうが、結果的には利益を生むことにつながるからです。
食品の輸入では自給率の問題があるので、この考え方が必ずしも正しいとは言えませんが、貿易には、このように「国際分業によってお互いの生産性を高める」という考え方があることを知っておきましょう。
サービスも輸出入する時代!?
冒頭で、貿易とは「国と国との間で商品を売買すること」だと書きましたが、これは必ずしも正確な定義ではありません。
最近では、「サービス」のように目に見えないものも、貿易の取り扱い品目と考えられるようになっているのです。
ここで言うサービスには、航空機や船などによる輸送サービスや金融サービス、介護などの医療サービスがあり、これらを「取引」することをサービス貿易と言います。
現在、世界全体の輸出総額に占めるサービス貿易の割合は、約20%(外務省HPより)に達しており、無視できないものになりつつあります。
海外取引と国内取引、どこがどう違う?
貿易は「国と国との間の取引」です。
国と国が違えば、当然、言葉や流通している通貨、物の考え方が異なるため、国内取引にはない違いがあります。
では、海外取引特有の問題には、どんなものがあるでしょうか。
◎契約
買主の国と売主の国とでは、商慣習、法律、制度などが違うため、契約の仕方も全く異なります。
そのため「インコタームズ(国際的商慣習)」という各国の貿易従事者が守るべき国際ルールが存在します。
◎代金の支払い
売主・買主がお互いに遠く離れているので、商品の引き渡しと代金の支払いを同時に行うことができません。
また、使用されている通貨が違うという問題もあります。
そこでお互いのリスクをできるだけ軽減するために、信用状取引というものがあります。
最近では、国内取引のように電信送金による決済が増えてきていますが、いずれにせよ、外国為替が大きく関係します。
◎通関の手続き
外国との間で商品を売買するときには、関税がかかります。
買主は税関に関税納付に関する申告をして、輸入許可を受けなければ商品の引き取りができません。
以上が海外取引と国内取引の違いです。「面倒だな」と感じた人がいるかもしれません。
確かに、国内取引と比べれば、手間や時間がかかることは間違いありません。しかし、見方を変えれば、この点さえ押さえてしまえば、海外取引はそれほど難しいことではないのです。