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【輸入ビジネス】貿易で発生する3つのクレームとは!?

【輸入ビジネス】貿易で発生する3つのクレームとは!?

貿易では、輸送期限が遅れたり損傷した荷物が届いたりと何かとトラブルに見舞われるもの。

トラブルに遭うと発生する可能性があるものが「クレーム」です。

しかしこの「クレーム」という言葉、日本語と英語ではやや使われるタイミングやニュアンスが異なります。

そこで今回は「クレーム」とはそもそも何なのか?という点を解説するとともに、貿易においてよく発生するクレームの内容についてご紹介していきます。

クレームとは何か?

日本人は比較的「クレーム」という言葉を頻繁に耳にするのではないかと思います。

このフレーズを日本人が使用するとき、たいていは「けちをつける」とか「文句を言う」といったニュアンスで使われることが多いです。

一方、英語では「Claim」と表現され、

海外では「損害賠償請求をする」
「(自信を持って権利や遺産などを)主張する」
「(当然のこととして)要求する」

といった意味で用いられることがほとんどであり、その意味は非常に重い意味を持ちます。

たとえば、日本人が海外の工場に発注していたサンプルが設計図と異なる場合に「納品先からクレームが来たのですが…」と海外の担当者へ伝えたとき、「そんなことで損害賠償請求されてしまうのか!」と受け取られてしまい、契約を突然切られてしまったということもあるようです。

そのため、日本人の感覚のまま外国人との取引で「クレーム」という表現を軽々しく口にしないように気を付けなければなりません。

日本でいう「クレーム」のニュアンスを、海外の人に伝えたいのであれば

「make complaint(苦情を言う・文句を言う)」

と伝えると良いでしょう。

貿易で発生する3つのクレーム

では、貿易で発生するクレーム(損害賠償)には、どのようなものがあるのでしょうか?

貿易に関するクレームは大きく分けて3つに分けられます。

それは、

  • 運送クレーム
  • 貿易クレーム
  • マーケットクレーム

の3点です。

運送クレーム

運送クレームとは、輸送時に積載していた荷物が傷ついたり破損してしまったりした際、貨物の運送人に責任が認められる場合に、

インポーターが航空会社や船会社に対して申し入れるクレーム

です。

具体例を挙げると、保管ミスによる商品の品質低下や輸送時の乱暴な取り扱いによる商品の破損などがあります。

通常、貨物に損傷や破損が見受けられた場合には運送人に問い合わせることがほとんどですが、運送規約の免責条項などを理由に「こちらには非がない」と主張されることが多いため、あえてクレーム(申し立て)を入れるということになります。もし保険をかけていれば、クレームと同時に保険会社へ保険金申請の手続きをしておくと良いでしょう。

運送クレームでは、「いつ」・「誰が」起こしたトラブルなのかを客観的に判断することが求められるため、必要に応じて、保険会社指定の鑑定機関に報告書(英語ではSurvey Reportと呼ばれます)を依頼し、作成してもらわなければなりません。

貿易クレーム

貿易クレームとは、届いた品物の品質が異なっていたり不良品だったりした場合、または数量が不足している、梱包が予定されていたものと異なっているといった

契約不履行が起きた場合に取引相手へ申し立てるもの

です。

加えて、船積が遅延したり分割輸送になってしまったときなどにも、申し立てることが可能。売買契約の内容に関するもので、インポーター側が不利益を被る可能性がある場合には、今後の取引のことまで見据え、きっぱりと主張や申し立てをしておくことが次回以降のトラブルを防ぐことにも繋がるでしょう。

マーケットクレーム

マーケットクレームは、

為替変動や市場価格のための値引き要求といった不当なクレーム

であり、今回挙げた3つのクレームの中でもっとも厄介な類のものです。また中には、輸出する側の些細なミスや重箱の隅をつつくような指摘をして、法外な値引きを要求するなど、非常に悪質なケースが多くなっています。こうしたクレームには、あらかじめ契約の段階で免責範囲を明確にしておくことが大切です。

クレームの実例

3つのクレームの概要については理解したけれども、「実際にどんな事例があるのか知りたい」、「具体的にどのような場面でクレームに遭遇するのかよくわからない」といった方も多いことでしょう。

そこで、ここからはクレームの実例を3件ご紹介します。

①サンプルが届かない

ある展示会で低価格で見た目の良い商品を見つけたため、その場でサンプルをオーダー。

サンプル品は日本円にしておよそ3万円。手間や送金手数料などを考慮して、その場で払ったほうが効率的だと思い、仮領収書と引き換えに代金支払いを済ませた。その後「サンプル」・「正式な請求書」・「領収書」の3点を送るように頼んだが、全く音沙汰がなく、何度連絡を入れても返事を貰えなかった。

半年後同じ展示会でそのメーカーに抗議をしたものの、仮領収書を持っていかなかったために支払い事実を立証することができず、泣き寝入りする結果となった。

前払いする際は、たとえ少額であっても書類をきちんと管理しておく。

また申し立てをする際には証拠が必要である。

②輸送途中のアクシデント

アロマキャンドルを輸入する際、本体に「のり」が使われていたが、輸送中に溶け出してしまった。

商品にならないばかりか、コンテナが汚れたという理由で運送会社からもクリーニング代を請求されたため、メーカー側に「接着不足ではないか?」と抗議したものの、インポーター側が輸送時に船便が赤道を通過すること(接着剤が熱で溶ける可能性)を予測出来ていなかったこともあり、折半でクリーニング代を負担することとなった。

今回のケースではお互いに非があったが、相手が全面的に悪い場合でも、「話し合いが平行線」・「交渉が長期化」となる場合には、

費用を折半させて決着させる

のも現実的な方法の1つである。

③天然物の落とし穴

木製のフォトフレームを輸入した際に、届いた商品を開けて見るとかなりの数量のフレームが歪んでいた。十分乾燥させた木材を使用すれば歪むはずがないが、一枚板の木材は時間が経つとねじれを起こすことがある。よって「この商品は今回の発注で作られた製品ではなく、別の会社でキャンセルとなった製品を回されたのではないか?」と感じたため、現品の写真とともに抗議の連絡を入れた。しかし「天然物にはリスクが付き物」と相手にされなかった。

天然物の輸入の際には、契約書の裏面約款などに返品の条件などを盛り込んでおく。

クレームの解決方法

このようにクレームの例には様々なケースがあります。

クレーム解決の最も理想的な方法は、当事者間の話し合いの中で「和解」できること。しかし、トラブルの内容や相手によっては話し合いだけで解決できるとは限らないことも、知っておく必要があるでしょう。

当事者間で解決できなかった場合の解決方法としては、

  • 調停
  • 仲裁
  • 訴訟

があります。

いずれの方法にせよ、話し合いのために相手国または第三国に出向くことになった場合には、話し合いそのものに係る費用だけでなく、弁護士や関係者の渡航費や滞在費まで負担しなければならないため、基本的には現実的な対応方法ではありません。

またこれらの方法を利用せず当事者間で話し合い「次回の取引の際に相応の値引きをしてもらう」など、お互いの落とし所を探る方法も有効です。これなら事態が大きくなることもなく、相手との関係が崩れることも少なくなります。お互い納得できる形としては、最も現実的な方法かもしれません。

クレームを起こさないためにできること

クレームを起こさないために最も重要なことは、事前の交渉や契約です。当然ビジネスをやっていれば、予期しないトラブルや想定外の事態が発生することもありますが、大概のトラブルは、事前の知識や対処によって回避できるものがほとんど。

たとえば、

  • 信頼できる取引先とだけ契約をする
  • 口約束や書面を交わさない契約は避ける
  • 明細や領収書、サインなどの証拠品の管理を徹底する
  • 「守ってほしいこと」「返品時の条件」などは事前に契約書に盛り込んでおく

など、交渉や契約の段階で取引先ときちんと話し合いをしておくことが大切です。

まとめ

今回の記事ではクレームとは何かを説明するとともに、クレームの実例についてもご紹介しました。

クレームは大変やっかいですが、仲裁や訴訟などはあくまでも最終手段。貿易は「モノ」と「書類」のやり取りと思われがちですが、そこには「人」と「人」とのつながりがあり、「心」があります。

トラブルに巻き込まれたとしても、あまり感情的になりすぎず、冷静かつ誠意をもって対応することが必要でしょう。文化や言葉は違っても、思いやりと理解を持って接することが何よりも大切だということを忘れないようにしたいものです。

輸入ビジネスをはじめたい方はこちらもお読み下さい

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