海上輸送
小規模貨物をコンテナで運ぶにはどうしたらいい?FCLとLCLの違いについても詳しく解説!
海外から品物を輸入する際の輸送手段として欠かせない
コンテナ船。
貿易ビジネスに携わっている方の中には、今後コンテナを利用して品物を輸出入することを検討しているというビジネスパーソンもいるかもしれません。
しかし、個人や小・中規模で輸入ビジネスを行う方の中には、「コンテナを丸ごと1つ借り切るほどの輸送量がない」または「輸送する荷物が少量の場合にコンテナ以外の輸送方法はないの?」と思う人もいることでしょう。
そこで今回は、
どんな場合にコンテナ輸送を選ぶと良いのか?
という点について解説するとともに、
少量の荷物をコンテナで輸送する方法(LCL)
コンテナ以外の輸送方法
について詳しく解説していきます。
目次
そもそもコンテナ輸送って何?
海上輸送コンテナは、通称「カイコン」とも言われ、国際海上貨物用のコンテナとして、輸送の効率化や物流の発展に寄与してきました。
コンテナの規格は、ISO規格で国際的に標準化されており、
その大きさや容量が細かく定められている
のが特徴。通常、輸送においては「ドライコンテナ」と呼ばれるものが使われるケースが多いですが、形状や機能によって様々な種類があり用途によって利用するコンテナは異なります。
海上輸送コンテナのサイズと種類
では具体的にどのようなコンテナのサイズがあるか、詳しく見ていきましょう。
コンテナのサイズとして典型的なものは20フィートと40フィートですが、それ以外のサイズのコンテナもあります。
次にコンテナの種類を見てみましょう。
このように、コンテナには多種多様なサイズや種類があり、用途によって適切なものが選定され、目的地まで運ばれることになります。ただし、どのコンテナを利用して輸送するかを輸送の素人が選定するのは至難の業のため、そこは
フォワーダーや輸入代行業者に一任するのが一般的
です。
フォワーダーについては、コチラの記事も参考になります。
フォワーダーの選定方法についてはコチラ
コンテナで貨物を輸送する方法(FCL/LCL)
さて、上記のようなコンテナを利用して貨物を輸送する方法には、
FCLとLCL
という2種類の方法が存在します。
FCL(Full Container Load)とは、荷主がコンテナを丸ごと1つ借り切る輸送方法。運賃は1つのコンテナ単位で計算されるのが特徴です。使用されるコンテナには、20フィートコンテナや40フィートコンテナなど、様々なタイプがあり、積載する品物の大きさや量などによって使用するコンテナが決まります。
ある一定の量を下回ってしまうと割高になることもありますが、
貨物にダメージが起こりにくい点や、発注・輸送依頼~貨物到着・搬入までの時間が比較的短め
である点がメリットと言えるでしょう。
一方LCL(Less Than Container Loadの略)は、1つのコンテナを複数の荷主の貨物でシェアする輸送方法であり、重量や面積に応じて運賃が決まるのが特徴。特に個人や小・中規模のインポーターで、
「コンテナを丸ごと1つ貸切る程でもないが、コンテナでの輸送が必要」といった場合には最適
な輸送方法となります。
少量の貨物を運ぶのには便利ですが、貨物の引き取りまでに時間を要してしまう点や、他の荷物との混載によってダメージが発生しやすい点などがデメリットでもあります。
両者を比較すると、少量の場合はLCLのほうが安価ですが、貨物がある程度まとまっていて量がある場合にはFCLのほうが割安となる場合もあります。そのため取扱う貨物の中身や量などに応じて適切な輸送方法を選ぶことが大切です。
「輸入ビジネス=コンテナ輸送」だけではない!
コンテナ輸送を選ぶメリットには、
- 一度で大量に輸送ができるため輸送コストが安い
- 重量のある荷物でも運びやすい
- (FCL輸送(※後述)の場合)紛失や破損のリスクが低い
- 鉄製のコンテナで配送されるため輸送の安全性が高い
といったものが挙げられます。
一方でデメリットとしては、
- メンテナンス不良などの理由による事故や破損のリスクもある
- ある一定の輸送量を下回る場合、輸送量が割高になる可能性がある
- (LCL輸送の場合)一部の荷物のみを優先的に取り出して処理することが難しい
- 精密機器など精巧なものを運ぶのには向いていない
などが考えられ、大量の貨物を比較的ローリスク・ローコストで運べるというメリットがあるものの、
小規模の荷物の輸送には適さない場合も
あります。
特にコンテナ輸送では、
- 雨風に晒されやすい
- 海水をかぶる場合がある
- 赤道を通るルートなどコンテナ内が高熱になりやすい
といったことに関するトラブルが多め。こうしたトラブルを避けるためにも、あらかじめ念入りにラップやパレット梱包をするなどの対策、熱に弱い食品・雑貨類はなるべく船便を避けるといったリスクヘッジが大切です。
また「品物の輸出入」「輸入ビジネス」などと聞くと、ついついコンテナでの大型輸送を思い浮かべてしまいますが、常に「コンテナ輸送」がベストな選択肢とは限りません。生鮮食品や精密機器の輸送には、輸送日数の短い航空便が優れていますし、少量輸送の場合にはEMSを選ぶほうがコストが安いというケースもあります。そのため輸送手段を決める際には、
貨物とコスト・リスク等のトータルバランスを踏まえて適切な輸送手段を選ぶ
ことが必要です。
少量貨物をコンテナ以外で輸送する方法
少量の貨物を輸送する場合、コンテナ以外での輸送方法として考えられるのは
- EMS
- クールEMS(生鮮食品や医薬品、検体など)
- 国際宅配便
といったものが挙げられます。
またこれらの輸送方法には、
- 航空便
- 船便
- 陸便(鉄道含む)
- 各輸送手段のハイブリット型
などがあり、
輸送する品物や希望のお届け日数
などによっても手段が異なります。
さらに大きさや重量によって費用が変わったり、同じ貨物でも配送業者ごとに料金が違っていたりする場合もあるため、利用する際には、複数の手段や業者の見積もり比較がオススメです。
詳しい配送方法については、下記の記事も参考になります。
コンテナ輸送以外の方法を検討している方は、ぜひチェックしてみてください!
EMSについてはコチラ
クールEMSについてはコチラ
EMSの送り方についてはコチラ
国際宅配便についてはコチラ
まとめ
今回の記事では、
どんな場合にコンテナ輸送を選ぶと良いのか?
という点を解説したほか、
少量の荷物をコンテナで輸送する方法
コンテナ以外の輸送方法
についても詳しく見ていきました。
個人や小・中規模事業者のインポーターの場合、コンテナを1本丸ごと借り切る輸送方法は現実的でないケースも多くあります。そんな時は、コンテナ輸送だけにこだわらず、
ケースに合わせてEMSや国際宅配便などの手段を選ぶことも可能
です。
用途や予算に合った適切な輸送方法をぜひ検討してみてくださいね。