国際輸送
海上コンテナ輸送における貿易条件(インコタームズ)とは?
貿易の場でよく耳にする
「貿易条件(下記、インコタームズ)」
しかしインコタームズには様々なケースが存在するほか、仕組みが複雑に感じられることもあって
- 種類がありすぎて、どれを選べばよいかわからない
- そもそも何が定義されているものなのか
- 何をポイントに適切な条件を決めればいいの?
など疑問を持っている方も多いことでしょう。
そこで今回は、
インコタームズの概要から取引条件まで
初心者の方でも分かるように詳しく解説していきます。
目次
インコタームズって何?
円滑な貿易のためには、輸入者と輸出者との間で貿易条件をきちんと定めて締結しておくことが大切ですが、その際に重要な役割を果たしてくれるのが
「インコタームズ」
です。
インコタームズでは、貿易における「責任」と「費用負担」の範囲を定義するのが一般的。貿易条件の大枠をインコタームズで固め、それ以外のインコタームズで触れられていない細かな取り決めについては「売買契約書」で取り決めをするケースが多くなっています。
国際貿易では輸送におけるリスクやトラブルに見舞われることも少なくありません。そのためインコタームズを定めておくことによって、
輸入者と輸出者の責任の範囲が明確
になり、スムーズな貿易ができるようになるのです。
ほとんどのインコタームズでは、
- トラブルが発生した時の損害はどうするか?(危険負担)
- どこまでの費用を負担するのか?(費用負担)
- 貿易取引を行う上で当事者がやらなければいけない範囲(どちらが貿易書類を用意するのか?、保険契約を誰が手配するのか?など)
が定められています。
特にトラブルが発生した場合、その損害を輸入者と輸出者どちらが負担するのか、また負担がどのタイミングで輸出者→輸入者へと切り替わるのか(輸送中のトラブルを誰がカバーするのか?)、は重要なポイントです。インコタームズでは、この切り替えのポイントについても細かく定められており、どの取引条件を適用するかによって費用負担の範囲も変わってきます。
ただし、
- 所有権転移や売買契約
- 品物の仕様
- 関税
- 知的財産権
- 不可抗力時の履行困難
などについてはインコタームズ上には定義されていませんので注意が必要です。
またインコタームズには
「強制力がない」
ということも覚えておく必要があります。あくまでもお互いの合意の上で成立した任意契約であり、貿易をする上で絶対に必要な契約ではありません。しかし不測の事態に備えて用意しておいたほうがリスクヘッジに役に立つことは間違いないため、インコタームズを利用して責任範囲を明確にしておくことをオススメします。
インコタームズ2020年版の11条件
数年前までインコタームズは「2010年版」が活用されていましたが、2020年に10年ぶりの改定が行われたことにより、現在では「2020年版」が使用されるようになっています。
インコタームズ2020年版では、
「すべての輸送手段に適した規則」と「船舶輸送のみに適した規則」
の2つに分類がされており、合計で11個の条件が定められています。
それぞれの条件を見ていきましょう。(※インコタームズは世界共通で使用されている貿易条件であることから、アルファベットの3レター表記されます)
(1)すべての輸送手段に適した規則
(2)船舶輸送のみに適した規則
※これら4つの条件は、現在主流である「コンテナ船」ではなく、コンテナでは対応できない荷物を搭載する
「在来船」が主な対象
となっています。コンテナ船で輸送をする場合には、「(1)すべての輸送手段に適した規則」で紹介した「FCA」「CPT」「CIP」などの取引条件を活用すると良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、
インコタームズの概要からインコタームズ2020年版の11条件
についてお伝えしました。
インコタームズは複雑で分かりづらいと感じる方もいるかもしれませんが、全てを覚えておく必要はありません。
条件の内容が分からなくなった時には、スリーレターの英訳から意味を連想させることもできますし、その都度確認してから締結すれば問題ありません。
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