コンテナ
海上輸送のコストを減らすために気を付けたい3つのポイント
輸出入のビジネスに携わっている方にとって、
「輸送コストをいかに削減するか?」
というのは利益率を挙げるためにも頭を悩ませる問題の1つでしょう。
特に日本では国際間の輸送において「海上輸送」が利用されることが多くなっており、海上輸送費のコスト削減は輸出入者にとって大きなテーマとなっています。
そこで今回の記事では、
海上輸送コストを減らすためにできるポイントを、3つに絞ってお伝えする
とともに、
海上輸送費を削減するための裏ワザ
についてもご紹介していきます。
目次
海上輸送費を減らすためにできる3つのこと
海上輸送費を減らしたい
と考えているインポーターは多いのではないでしょうか。
そんな時は、次にあげる3つのポイントを見直してみましょう。
【海上輸送費を減らすポイント】
- 最適な輸送方法は何か?
- 見積もりを取っているか?
- コンテナの積載量が最大化されているか?
それぞれ詳しく解説していきます。
最適な輸送方法は何か?
品物を配送するのにあたって最も重要な要素のポイントとなるのが
「最適な配送方法は何なのか?」
という点。
時には航空輸送やSAL便を選ぶほうが、コストは割高でも早くて品質が保たれ、
トータルコストでみれば安い
ということもあります。
なぜなら海上輸送では、配送日数が長い時で1~2か月近くかかる場合があるためです。長期間の配送で積み荷が破損したり、商品価値が下がったりしては、
結局コストが高くついてしまうケース
もあります。
そのため、まずはどの配送方法が適切なのかをしっかり確認しておくことが大切です。
そのうえで海上輸送を選ぶとすれば、配送ルートや配送期間、配送業者をきちんと比較するとともに、
輸出国または輸入国のカレンダー(スケジュール)をよく確認
しておきましょう。
たとえば、
- 中国やベトナムなどの旧正月
- アメリカやヨーロッパのクリスマスシーズン
などでは出荷を急ぐ傾向にあり、輸送費も高額になりがちです。また積載荷物が急増するために、通関や港までの陸運なども非常に混雑します。そんな時、各国における配送事情をあらかじめ理解していれば、その時期を避けて輸送スケジュールを組むことも可能。
あえて
貨物需要の低い時期を狙うことで低コスト輸送を実現できる
ため、急ぎの荷物ではない場合には「時期をずらす」、「季節を見計う」といった対策を考えてもいいのではないでしょうか。
見積もりを取っているか?
先ほど「配送送ルートや配送期間、配送業者をきちんと比較することが大切」と述べましたが、各社のサービス内容を検討するためには
見積もり
が必要となります。
輸送に関する費用や条件の取り決めにはインコタームズが利用されるのが常ですが、インコタームズには様々な契約形態があるため、
選ぶ際には慎重に
ならなければなりません。
たとえば「FCA」では、運送人に渡すまでの費用およびリスクについては売り手が負担し、それ以外のものについて買い手が負担する決まりです。そのため、
コンテナが港に置かれた際に事故やトラブルに巻き込まれてしまうと買い手が責任を負ってしまう(費用負担する)危険性
があります。
また「CIF」の場合には、輸入国までの海上運賃と保険代金が含まれたコミコミのプランのため「安心できる!」と思うこともあるでしょう。しかしトータルパッケージの契約にすると、
売り手に不明瞭な費用を上乗せされるなど、買い手側が損を被る可能性
もあります。
こうした理由から、海上輸送費用の見積もりには
「FOB」
を利用するのがオススメ。「FOB」とは、「Free On Board」の略であり、輸出港に停泊する船の甲板に荷物を搭載したタイミングで費用と危険負担が切り替わる契約となっており、売り手側が指定仕向港まで運送費用を負担してくれるため安心です(法的強制力はありません)。
ただしFOBを利用するならば、
普段から付き合いのあるフォワーダーや船会社が有利な価格設定を行ってくれることが前提
となるため、貿易に慣れていない方や初心者の方が「FOB」を利用するメリットは少なめ。その際にはDDP(売り主が関税などを負担する契約)など別のインコタームズを検討しましょう。
インコタームズについては詳しくはこちら記事を参考にしてください。
コンテナの積載量が最大化されているか?
上記のほか、コンテナ輸送にあたって気を付けたいのが
「積載量」
コンテナでの海上輸送では、定格や基準さえ下回っていれば、積み荷の量は自由となっています。コンテナ1本が10万円の費用だった場合、コンテナ内に20個搭載するか、40個搭載するかでは、そのコストは一目瞭然です。
つまり、コンテナに積める貨物量が増える(最大化する)ほど輸送コストは下がるということ。ですからコンテナ輸送をする場合には、
まとまった量で一気に輸送してしまうのがコスト削減の秘訣
となります。
海上輸送コストを削減するための裏ワザ
ここまで海上輸送費を下げるための方法についてお伝えしてきましたが、中には
- その方法はすでに試してしまった
- まだもう少しコストを下げたいんだけど・・・
といった方もいるかもしれません。
そこで、さらに海上輸送をダウンさせるための裏ワザとしてご紹介したいのが、
「積み荷の統合」と「フォワーダーの選定」
の2つです。
まず「積み荷の統合」ですが、効率的かつ低コストで輸送する方法として生み出された
「バイヤーズコンソリデーション(積み荷の統合)」
というやり方で、海上輸送にかかる費用を削減できる可能性があります。
当然ながら、積み荷を各地からそれぞれの輸送手段で送るのは大変な手間とコストがかかります。しかし海外にいる複数の生産者やメーカーなどの商品を輸出国側でまとめることができればコンテナ単位で輸送できるため、
輸送コストを大幅に削減することが可能
です。
一方、「LCL」を利用して積み荷を統合する方法もあります。LCLとは「Less Than Container Load」の略であり、
コンテナに複数の荷主の貨物が混在する輸送形式
のこと。コンテナ1本分を満たせないような小口貨物を別の荷主の貨物と混載し、コンテナ内の空間をシェアするという輸送方法の1つです。
バイヤーズコンソリデーションとLCLとの違いは、
コンテナの荷受人(Consignee)が1人か?複数か?という点。
LCLではサプライヤーに対して複数の荷受人が存在しますが、バイヤーズコンソリデーションでは荷受人は1社(または1人)しか存在しません。
バイヤーズコンソリデーションでは、
- バイヤーが海外の複数のメーカーで買い付けた商品
- 複数の工場で生産した品物
などを調達する際、1か所の倉庫にまとめてからコンテナに積載されるため、
輸送効率の向上や時間短縮、コスト削減などに繋がりやすい
と言われています。また荷受人が1人のため、コンテナを途中で開けられたり、積み荷を複数回にわたってチェックされたりすることが少なく、商品が破損するリスクも少ない輸送方法となります。
次に
「フォワーダーの選定」
について説明します。
フォワーダーに限ったことではありませんが、スポット的な客よりも
長期的に利用してくれるユーザーを大切にする
のはビジネスの基本ですから、なるべくなら長くお付き合いのできる業者を選定したいものです。
そういった意味では
- サービスは悪いけど格安の業者にしよう!
- 兎にも角にも値段の安さが一番大事!
といったように
コスト面ばかりを重要視するのは危険。
トラブルの原因になりやすく、長きにわたってビジネスを続けていくことが難しい場合もあります。また業者によって得意とする分野や強みのあるルートなどが異なるため、価格以外の面も含めて総合的に判断して、
自分のビジネスに合ったフォワーダーを見つけることが大切
です。
さらに「バイヤーズコンソリデーション」を検討するのであれば、これに対応してくれるフォワーダーを探す必要があります。中には、法人や企業だけでなくある一定の事業規模を持つ個人事業主でもコンソリデーション対応(積み荷統合)をしてくれるフォワーダーもいるようですので、輸送ニーズに合わせて適切なフォワーダーを選ぶようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、
海上輸送コストを減らすためにできる3つのポイント
と、
海上輸送費を削減するための裏ワザ
について解説しました。
輸出入のビジネスに携わる者にとって「輸送コスト」は非常に重要なテーマの1つではありますが、様々な方法を駆使することによってコスト削減を実現することが可能です。
コンテナを確保して大掛かりな輸送を行うのではなく、「もっと手軽でスピーディに品物を送りたい!」「少量の貨物を輸送したい」という場合には、
EMSや国際宅配便を利用する
という方法もあります。
これらの輸送方法については、次のような記事で詳しく説明していますので、ぜひチェックしてみてください!
EMSについてはこちらの記事を参考にしてください。
クールEMSについてはこちらの記事を参考にしてください。
国際宅配便についてはこちらの記事も参考にしてください。